キャラクター✕AIで企業の課題や要望を解決するソリューション事業を展開中のPictoria。今回は株式会社ナルミヤ・インターナショナルがルミネエスト新宿にて開催したポップアップイベントで、AIコンシェルジュとして『NARUMIYA Characters Vision』をプロデュースした事例をご紹介します。大盛況のうちに幕を閉じたイベントでPictoriaの技術はどう活かされたのか。人気キャラクターとAIのコラボは何を生み出すのか。ぜひご一読ください。
渡邊理紗様(画像右)
株式会社ナルミヤ・インターナショナル 第2事業本部 企画部 PR
板垣亜美様(画像左)
株式会社ナルミヤ・インターナショナル 新規事業開発部
■株式会社ナルミヤ・インターナショナル
新生児・ベビー・キッズからジュニアまで「プティマイン」「ラブトキシック」「メゾ ピアノ」など販売チャネル・テイストの異なる26のブランドを展開し、国内最大手の子ども服メーカーとして、高品質な最新キッズファッションを先導しています。
どうやって平成をアプデしてカムバさせるか
── まずはイベントの概要からお聞かせ願えますか?
渡邊:2月1日から3月2日の1ヶ月間、ルミネエスト新宿で開催した『ニュートロ with ナルミヤキャラクターズ ~ウチらの平成がアプデしてカムバ !?~』というイベントです。ポップアップショップ出店について弊社からルミネさんにご提案させていただき、全館施策として一緒に盛り上げていただけることになり、弊社でもプロジェクトチームを組んで企画をすり合わせていました。そんな中、平成の文化が再注目されているという話題になったんですね。
板垣:そこから新しい(NEW)と懐かしい(RETRO)が融合した「ニュートロ」というルミネエスト新宿ならではのキャンペーンコンセプトにつながったんです。今回一緒に企画を練っていったルミネさんのご担当者様もみなさん平成のまんなか世代。打ち合わせの場でも「ナルミヤの服持ってました!」なんてお声もいただいたりして。
渡邊:それで平成の文化をピックアップしようという流れから、当時一大ブームを巻き起こした『ナルミヤキャラクターズ』を展開するという具体的なアクションが決まったんです。
── その時点でAIを導入するアイデアはあったんですか?
渡邊:企画を盛り上げるためにどういったPRが最適か、さまざまな手法を検討していました。SNSでバズらせるとか、動画制作とか。その一つとしてフォーカスされたのがAIの活用でした。これまでやったことがなかったので、この機会にチャレンジしてみようかと。
── Pictoriaの存在を知ったきっかけは?
渡邊:実は弊社代表の國京とPictoriaの明渡さんがタイミングよくつながっていて。國京からは、VTuberというホットな市場にAIで挑戦している熱い人だと(笑)。それならニュートロのニューの部分にもマッチしていると思い、具体的にお話を聞いてみようということになりました。
Pictoria・明渡(以下明渡):情熱を全面に打ち出して良かったです(笑)。國京さんに最初にお会いしたときに、いろんな角度から事業紹介とご提案をさしあげました。おそらくそれで興味関心を持っていただけたのかなと思います。
渡邊:最初はどうなるのかまったく見当もつかなかったのですが、これまでナルミヤキャラクターズのキャラクターが動いたことは一度もありませんでした。私をはじめみんな、一度は動かしてみたいという思いがあったんですね。それで明渡さんからVTuberのお話をうかがった時に、お客様と双方でコミュニケーションが取れたら面白いかも、と。そのあたりからインタラクティブ性が企画のコアな部分になっていたことを覚えています。
── 最初の課題は何でしたか?
板垣:ルミネさんのお客様が年代的には平成より少しお若い層でしたので、そういった方々に平成をどう感じていただけるか、を意識しました。平成ってムーブメントとしては盛り上がりつつあるものの、ふわっとしたイメージだと思うんです。そこに対して「こういったものがあったんだよ」とお伝えすること自体がひとつの挑戦でしたね。感覚的な部分もありますし、どこまで受け入れられるか未知数でした。
渡邊:ナルミヤキャラクターズも性格や背景が細かく設定されているキャラもいれば、ないキャラもいたんですね。加えてブームは結構前の出来事です。ご来場者様がコミュニケーションを取ったとき「そうそう!メゾピアノのベリエちゃんってこうだったよね」と思っていただけるかどうか。イメージとリアルの納得感を結びつけることにこだわりました。
密なやりとりで一緒に開発していく実感を得られた
── Pictoriaとタッグを組んでの第一印象は?
板垣:とにかく新しい、というのが最初の印象でした。AIに触れること自体はじめてでしたし、言うまでもなく最先端の技術ですから。いろいろとご説明いただきながら「こんなこともできるんだ」とワクワクしました。
渡邊:私は以前からVTuberを観ていて、界隈が盛り上がっていることは知っていました。もしナルミヤのキャラクター達がVTuberみたいに喋ったり歌ったり踊ったら面白いだろうなあ、と妄想していました(笑)。
Pictoria・山下(以下山下):プロジェクトの立ち上がりでは「AIとは?」というところからお話をさせていただきました。便利さはもちろん、かわいいキャラクターたちを動かすところでのAI活用についてご理解を深めていただけたと思います。
── さきほどのお話では課題はキャラ設定にありそうでしたが…
山下:そうですね。あらかじめ設定があるものについては残すところ、ふくらませるところのメリハリをチューニングしつつ、設定そのものがないものについてはお二人からご意見をいただきながら“カワイイ”を軸に調整を進めていきました。
── 明渡さんはプロジェクトを俯瞰して見てどんな感覚を得ていましたか?
明渡:これまで自分自身が通ってこなかったカルチャーだったので、視野の狭さを実感させられました(笑)。というのもナルミヤさんの話をすると周囲の女性の99%が認知していて、しかもとんでもない熱量を持って語るんです。これこそブランディングの鑑というか、“推し”のあるべき姿ですよね。
Pictoriaにとってもすでに高い認知度と人気を獲得しているキャラクターとAIのコラボレーションは初の取り組みです。単なるヒットを超える企画に仕上げなければ、と思いました。
── プロジェクトが動き出してから印象に残っていることなどありますか?
板垣:実施までの期間が短かったのですが、情報のキャッチアップが早くて驚きました。途中からはキャラクターにこういうのがあったほうがいいのでは?とご提案いただくほど。かなり密に連絡を取り合いながらAIに落とし込んでいったので、私たちも開発に参加している感覚が得られました。
渡邊:最初のプロトタイプが出来てきたとき、喋りかけると意見だけ返ってくる感じで「そうだよね~」みたいな共感がなかったんですね。でもコミュニケーションを通じてPictoriaさんが上手くニュアンスを汲み取ってくださって。もう少し寄り添って欲しいといった機微や細やかな感情の表現ができるようになっていったのには驚きました。
板垣:キャラクターを設定したのは私たちなんですが、実際にAIに落とし込むと「あれ?なんか印象違わない?」ってこともありました。どこをどうやったら私たちが思っているキャラクターに近づくのかな、と手探りで進めていた時期もありましたよね。
山下:キャラクターとのやりとりを最初に確認いただいた際には、意見としては正しくても文脈として一旦受け止めてほしい、といった要素が足りないことが少なからずありましたよね。そこは話し合いながら補足しつつ、とはいえやりすぎにならないようにかなり細かくチューニングしながら完成に向けて動いていきました。
お二人には本当に柔軟かつ粘り強くご対応いただけたので感謝しかありません。私たちも一緒に作っている実感を味わいつつ、完成度もかなり高く仕上がったと思えるものになりました。
ルミネエスト全体がナルミヤの世界観に
── 実際にサイネージに触ってみての感想はいかがでしたか?
板垣:いままでキャラクターが動いたり話しかけたりしてくれることがなかったので、シンプルに感動しました。純粋にキャラが好きなので「こうやって返してくれるんだ、かわいいっ!」って(笑)。
渡邊:私も平成女子どまんなか世代なので憧れのキャラとコミュニケーションできる喜びを噛み締めていました。画面に映し出されるだけでかわいい!というのが第一印象です。
── どのあたりでイベントの成功を確信しましたか?
渡邊:サイネージお披露目のタイミングでルミネの方々にも触っていただいたのですが、みなさん同年代ということもあって、見た瞬間「かわいいっ!」とテンションが一気に上がったんです。こんなホットなリアクションをいただけるならお客様もきっと盛り上がるはず、と確信しました。
板垣:来店層のメインが20代から30代なんですが、開催前はいったんどのような年代の方が触っても楽しめるものにしよう、という感じに仕上げたんですよね。
渡邊:実際にイベントが開催されるとカップルやお友達同士、ファミリーなどさまざまな方が足を運んでくださいました。その中には小さなお子様もたくさんいらっしゃって。でもお子様にとってはキャラが発する言葉というか、テキストの速度が早かったんです。そのあたりを調整できませんか?とすぐにフィードバックさせていただきました。
山下:ナルミヤさんが現場での状況を細かにキャッチアップしてくださるおかげで、表示スピードもリアルタイムで調整をかけることができました。設置して終わりではなく、少しでも盛り上げたいという思いはナルミヤさんも私たちも同じなんです。他にもスタッフの皆さんのご意見をいただいたり、キャラと会話できることをわかりやすくアピールするPOPを追加したり。現場の声をどんどん反映できたことは良かったと思っています。
── 会場でのお客様の反応はどんなものでしたか?
渡邊:やはりサイネージを見て足を止めてくださる方が多かったですね。ひっきりなしに往来がある中でサイネージの周りには常に人だかりができていました。あと、音をつけてくださったのが良かったです。タップするとかわいい音が出て、音やキャラの動きに反応する方が多かったんですよね。集客の面でも有効だったなと思いました。
板垣:お子様が「なにこれ?」と聞いて、お母様が「これはね」とお話されている姿が印象に残っています。親子で楽しんでいらっしゃって、まさに当社のビジョンにもある“世代を超えて愛される”が展開されているなあって。サイネージの周り一帯がナルミヤの世界になっていました。その中心にかわいい音が出て、キャラとお話できるというのはイベントの中でも存在感ある企画だったかなと思います。
山下:会期中はルミネエスト全館がナルミヤさんとのコラボレーションでしたよね。イベントスペースだけでなくレストランフロアにもサイネージを設置させてもらったり、いろいろなアパレルブランドさんとのコラボアイテムがあちこちで販売されていたり。ナルミヤさんのファンの方もたくさん見かけましたが、みなさん本当に楽しそうにお話ししたり、写真を撮っていらしたのが印象的でした。
キャラクター×AIの“世代を超えていく”可能性
── あまりの盛況ぶりに途中から予約制になったとか?
渡邊:ありがたいことに初日からものすごい数のお客様にご来場いただけることとなり、急遽予約制を導入せざるを得なくなりました。またキャラクターに「すごい待たされたよ!」とご意見を伝えてくださるお客様もいらっしゃって。でも、そういったご意見も実際のスタッフよりもキャラのほうが言いやすかったのかもしれません。
── それを踏まえて第2弾のイベントでは最初から終日予約制だったんですよね
板垣:ピンクで統一されたかわいいベリエちゃんのおうちをつくって、その中にあるPCという設定で『おしゃべりPC』という企画をPictoriaさんと実施しました。第2弾もおかげさまで終日予約が全て埋まるほどの盛況でした。
渡邊:店内にフォトスポットをたくさん用意したので、写真を撮りつつゆっくりお買い物を楽しんでいただくことができたかと思います。おしゃべりPCもお客様と一緒に世界観をつくる役割を果たしてくれたと思います。
── ナルミヤサイドでの学びや気付きはありましたか?
渡邊:さっきのご意見じゃないですけど、サイネージに向かって「こういう商品がほしい」とご要望をお伝えいただいたケースも少なからずありました。今後も商品開発の際のアンケートをはじめ、お客様の声を集める際に活用できるのではないでしょうか。
板垣:ルミネエストを見ていて思ったのは、新しいPR方法になりえる、ということです。たまたま前を通っただけで、それほど認知のない方でも「なんだろう?」と触っていったり写真を撮っていくんですよね。特にキャラクターやかわいいものが大好きな人にとってはSNSとはまた違う、リアルな場面でPRできるツールでもあると思いました。
山下:お子様以外にもカップルやお友達同士で話しかけながら写真を撮っている方が多かったですよね。案内するだけの便利なサイネージだったらこうはならなかったと思います。やはりかわいいからこそ、想定を超えるフォトスポットになっていたんですね。
── これからのPictoriaに期待することはなんでしょうか?
渡邊:弊社のコアターゲットが20代から30代なのですが、これからZ世代やα世代にどんどん進んでいくにつれ、AIはますます活躍してくれると思っています。いわゆるデジタルネイティブな世代にも刺さる企画を一緒に考えてほしいです。
板垣:私も同じで、やはりAIはこれからの世代により馴染んでいくものと思われます。だから大いに期待しています。キャラとAIをかけ合わせることで私たちにはできないようなこと…たとえば店舗でのおしゃべりだけでなくて、新しいお客様も一緒に楽しめる何かを作れるんじゃないか。そう考えると楽しみで仕方ありません。
山下:今回の取り組みで強く感じたのはご担当のお二人が熱量を持ってプロジェクトに関わってくださったこと、そして自社のキャラクターと商品を愛しているからこそ成功に至ったんだということです。これからもさまざまなご提案を通してナルミヤキャラクターズが持つコミュニケーションの力を広げたり高めたりする一助になれればと思います。
明渡:弊社だけではリーチしにくい層にタッチポイントが生まれたことで、広く受け入れてもらえるポテンシャルを感じることができました。本当にありがとうございました。これからもナルミヤさんとのタッグを通じて「AIキャラクターが当たり前に存在する」世界を作っていければと思います。
── ありがとうございました!